Episode2 -白洲次郎氏がマッカーサーに贈った椅子
吉田茂元首相の側近としてGHQ連合国軍最高司令官であるダグラス・マッカーサー元帥と渡り合ったことで知られる白洲氏ですが、1947年そのマッカーサー元帥に贈った自らがデザインした椅子が存在しています。
GHQ最高司令官を表す五つ星。
座面は非常に低く、低い目線で日本を眺めて欲しかったのではないかとの推察があった椅子ですが、今はアメリカのマッカーサー記念館に所蔵されてます。
2009年に一度日本に里帰りし、福岡アジア美術館にて日本初公開しました。
展示会の後、白洲次郎氏のご令嬢様より、この椅子のレプリカを製作して欲しいとのご依頼を受けました。
レプリカの製作にて、材料は”ケヤキ”の無垢材のみを使用しており、組み手の技術が使われているのですが、ケヤキの反りやすい性質を考慮して、材料が動いても割れないように工夫されています。これはケヤキという素材を熟知した熟練した職人の技の上に成り立つ作品となっています。
近年、このような素晴らしい材料も手に入りにくくなっていますが、そのこと以上にこのような技術を理解した設計者と職人が少なくなっていることを、この椅子を通して痛切に感じてしまいます。